比較の前提:領域と形式を分けて見る
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本ページは、一般社団法人日本リネンサプライ協会や各社公式サイトなど、公開情報を整理した業界レポートです。特定の事業者の推奨や、衛生管理の実務指導は行っていません。掲載していない事業者も多数あり、網羅的な一覧ではありません。
リネンサプライの事業者を「どこが大きいか」で並べることは、本サイトの方針として行いません。理由は、企業規模の比較が各社の決算期や連結範囲によって大きく読み替えを要すること、そして同じ「リネンサプライ」という名前の事業でも、ホテルの寝具を供給するのか、病院の基準寝具を供給するのか、飲食物用のテーブルリネンを供給するのかで、必要な衛生管理の水準と洗濯の仕上げ方が変わります。そのため整理の第一歩として、本社の所在地、上場の有無や親会社という資本の形式、ホテル・病院・介護・飲食のどの領域を自社の中心とするか、リース対象の品目、拠点や規模の公表値、という事実項目を横並びにすることが穏当だからです。ホテルの寝具、病院の基準寝具、飲食物用のテーブルリネン、工場の作業衣では、必要な衛生管理の水準と洗濯の仕上げ方が異なるため、事業者ごとの領域の指向が事業の性格を映します。
本ページでは、一般社団法人日本リネンサプライ協会の会員事業者を中心に、全国へ供給網を持つ事業者と地域に根差す事業者を混ぜて9者を選び、公式サイトで確認できた事実項目を比較表にまとめました。各社の詳しい説明は、表の下のプロフィールと、リネンサプライ産業の全体像、基準寝具・医療リネンの制度と運用、RFID・工場自動化とDXの各ページに分けています。
比較表:事実項目の横並び
| 事業者 | 本社 | 上場・株主の公表 | 主な領域 | リース・洗濯対象の公表 | 拠点・規模の公表 | RFID・個体管理DXの公表 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社白洋舍 | 東京都大田区下丸子 | 東証スタンダード(9731) | 一般・ホテル・病院・飲食・工場 | シーツ・タオル・テーブルクロス・ナプキン等のリネンレンタルと、ユニフォームレンタル | 従業員1,328名(2025年12月31日現在)。北海道から沖縄までの供給体制 | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| 東急リネン・サプライ株式会社 | 東京都品川区 | 株主は東急株式会社100% | ホテル・飲食・オフィス | リネンサプライ、ユニフォームレンタル、ホテルランドリー、ダストコントロール、販売&リース | 売上高122億9,300万円(2025年度)、従業員751名(2026年1月現在)。工場は相模・千葉・東海・佐野の4か所 | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| ウェアラ株式会社 | 東京都中央区日本橋浜町 | 株主は三井物産株式会社・エームサービス株式会社(100%子会社化) | 企業・工場(ユニフォーム中心) | ユニフォーム・作業服のレンタル、衣料製品の企画・売買、クリーニング、マット・モップ等 | 売上高177億円(2026年3月期)。事業所18か所、工場3か所 | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| 株式会社トーカイ | 香川県高松市 | 公表を確認できず(公式サイト参照) | 病院・介護・ホテル・工場 | 寝具・リネンのレース。リネンサプライ、ユニフォームの洗浄、医療機器の洗浄・滅菌 | 売上高104億4,700万円(2026年3月期)、従業員775名(2026年4月1日現在)。香川・岡山両県に6工場 | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| ロイヤルネットワーク株式会社 | 山形県酒田市浜田 | 公表を確認できず(公式サイト参照) | 病院(メディカルリネン)・ホテル・一般 | リネンサプライ、一般衣類クリーニング、ふとん丸洗い、保管・宅配クリーニング | 従業員2,304人(2023年12月20日現在)、店舗510(2024年1月21日現在)、工場54(同)。東北中心に事業部・営業所 | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| 株式会社白興 | 東京都荒川区 | 公表を確認できず(公式サイト参照) | ホテル・温浴・飲食・食品工場 | ホテル向けシーツ・タオル、温浴施設向けリラックスウェアのリネンサプライ、ユニフォームレンタル、介護用品 | リネン・ユニフォーム・介護用品の三事業体制。規模の公表値は確認できず(公式サイト参照) | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| ワタキューセイモア株式会社 | 京都府綴喜郡井手町 | 親会社・関係は公式サイト参照 | 病院・介護(医療福祉)・ホテル | 寝具類・医療衣・ベッド類の製造、販売、賃貸及び洗濯。ホテル向けのリネンサプライ | 創業1872年(明治5年)。グループ会社数57社(ワタキューホールディングス・2026年6月現在) | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| 株式会社ヤマシタ | 静岡県島田市中河 | 公表を確認できず(公式サイト参照) | 病院・介護(福祉用具)・ホテル | ホテルリネンサプライ、病院リネンサプライ、福祉用具レンタル・販売の三事業 | 拠点数の公表値は確認できず(公式サイト参照) | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
| 日本基準寝具株式会社 | 広島県広島市安佐南区大町東 | 公表を確認できず(公式サイト参照) | 病院(基準寝具)・介護・ホテル | 病院・ホテルのリネン、介護用品・福祉用具(ベッド、車いす等)のレンタル・販売 | 東広島の工場等。拠点数の公表値は確認できず(公式サイト参照) | 公表を確認できず(公式サイト参照) |
2026年10月29日時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。確認できない項目は「公式サイト参照」と表記しています。最新情報は各社公式サイトで確認してください。
表を読むときの三点の注意
第一に、規模の数値は各社で時点と単位が異なります。売上高の決算期、従業員数の基準日は企業ごとに違うため、数値の大小を直接比較すると誤解が生じます。たとえば東急リネン・サプライの売上高は2025年度、ウェアラは2026年3月期、ロイヤルネットワークの従業員数は2023年12月時点です。第二に、事業者ごとに「リネンサプライ」の含める範囲が違います。リネンにユニフォームを含めるか、福祉用具やマット類を含めるかで、事業の形と必要な設備が変わります。比較表の「リース・洗濯対象の公表」列は、各社が公式ページで列挙した品目の要約を載せています。第三に、ここで並べていない事業者が多数あります。一般社団法人日本リネンサプライ協会の会員一覧には、本表に挙げていない地域の事業者も確認できます。採用や契約の検討にあたっては、協会の参照から候補を広げておくことのほうが安全です。
また、病院の寝具を供給する場合には、後述する基準寝具という制度の区分が大きく関わります。病院向けの供給に詳しい事業者(トーカイ、ワタキューセイモア、ヤマシタ、日本基準寝具等)と、ホテル・飲食向けに詳しい事業者(白興や東急リネン・サプライなど)では、求められる品質管理の内容が違います。この領域ごとの区分は、基準寝具・医療リネンの制度と運用ページで整理しています。
各社のプロフィール
株式会社白洋舍
クリーニングの事業者として最も長い歴史を持つ上場企業の一つです。会社概要によると設立は1920年、本社は東京都大田区下丸子、東証スタンダード市場に上場し、資本金は24億1千万円、従業員数は1,328名(2025年12月31日現在)です。事業はクリーニング事業、レンタル事業、不動産事業、その他に整理され、リネンサプライはレンタル事業の中核です。ホテルやレストラン向けに、シーツ・タオル・テーブルクロス・ナプキンをクリーニング付きでレンタルし、北海道から沖縄までの供給体制と、自社研究所による品質管理を強調した説明が公表されています。ユニフォームレンタルでは、食品・医薬品工場の白衣や帽子、病院・介護施設のスクラブや健診着、飲食店のユニフォーム類を、横浜と明石の2つの専用工場(ISO22000認証)で洗浄する体制が公表されています。自社の五十嵐健治記念洗濯資料館など、洗濯の品質を技術と歴史の両面で説明する姿勢が特色です。
東急リネン・サプライ株式会社
本社は東京都品川区、株主は東急株式会社が100%です。売上高は122億9,300万円(2025年度)、従業員数は751名(2026年1月現在)を会社概要で公表しています。事業は「リネンサプライ」「ユニフォームレンタル」「ホテルランドリー」「ダストコントロール」「販売&リース」という5つのサービスで整理されています。リネンサプライ工場は相模・千葉・東海・佐野の4か所に加え、都心のホテル内にも工場・営業所が置かれています。ホテルの需要が集中する都心に自社の工場を近接させ、回収から納品までの循環を短くする配置が、この事業者の拠点構成の特徴として読み取れます。リネン品は「各種繊維製品並びに付属品の製造、貸付、販売及び洗濯」と業務内容にあり、東急グループのホテル・駅・商業施設との接点の近さが事業の特徴として捉えられます。
ウェアラ株式会社
本社は東京都中央区日本橋浜町、1988年4月設立です。旧社名はアラテックスジャパン株式会社、アラマーク ユニフォームサービス ジャパン株式会社で、2024年9月に三井物産株式会社の100%子会社化、2025年1月にウェアラ株式会社へ社名変更しました。売上高は177億円(2026年3月期)が公表されています。事業内容は、企業・工場向けのユニフォームレンタルサービス、ユニフォーム・作業服等衣料製品の企画・売買、クリーニングサービス、マット・モップ等清掃用具の売買・レンタル、安全衛生商品・防災用品・工具等の売買、エンブレムの企画・売買。拠点は事業所18か所、工場3か所、セールスオフィス13か所で、足利、草津、磐田の洗濯工場が公表されています。会社沿革が1960年代の米国のアラマーク社との関わりから始まる点で、日本のユニフォームレンタルに米国の工業洗濯の方式を伝えた歴史を持つ事業者として説明できます。
株式会社トーカイ
本社は香川県高松市の事業者です。公式の会社案内では、売上高104億4,700万円(2026年3月期)、従業員数775名(2026年4月1日現在)が公表されています。香川・岡山両県に6工場を構え、リネンサプライとユニフォームの洗浄に加えて、医療機器の洗浄・滅菌や滅菌後の供給などの支援サービスを説明しています。寝具・リネンの「安心の丸投げ」という案内に見られるように、長期的な寝具のリースや、最短1日からのレンタルのような短期の需要まで対応するサービスの幅が特徴です。病院や介護施設の基準寝具の管理実務を示す制度と結びついた営業領域を持つのが特色で、その制度側の説明は基準寝具・医療リネンの制度と運用ページで整理します。医療機器との組み合わせなど、寝具・リネンだけでなく設備の洗浄を含む総合的な支援を提供するという説明が特色です。
ロイヤルネットワーク株式会社
本社は山形県酒田市浜田、創業は1961年(昭和36年11月)です。会社案内によると、従業員数2,304人(2023年12月20日現在)、店舗数510(2024年1月21日現在)、工場数54(同)と規模も大きくなっています。うさちゃんクリーニングをはじめとする一般向けのクリーニングのブランドと、「メディカルリネン&リネンサプライ事業部」が並列的に紹介され、リネンサプライはリネン品を契約で貸出し、ご希望に応じて販売も行う形に整理されています。リネン事業部の拠点は、山形・宮城(仙台)、秋田、鶴岡、山形市、米沢など、東北を中心に配置されています。一般向けのクリーニングの店舗網と法人向けのリネンサプライを同じ会社が持ち、洗濯工場を両方で利用する構造が特色です。
株式会社白興
本社は東京都荒川区の事業者です。リネンサプライ、ユニフォームレンタル、介護用品の三つの事業を公表しています。リネン事業は、ホテル向けのシーツやタオルに加えて、温浴施設向けのリラックスウェアを対象とし、首都圏のホテルを中心とした供給体制をその強みとして説明しています。ユニフォーム側は、食品工場用白衣に専門のクリーニング工場を持ち、HACCP等の衛生基準に対応するユニフォームの提供が可能と公表され、食品工場の衛生管理への対応が特色です。自社で使用する機械や技術に対して複数の特許や実用新案を有すると説明しているほか、リネンサプライの工場見学動画を公開するなど、工場洗濯の技術的な説明に詳しい事業者です。ここで説明する制度上の区分は、基準寝具・医療リネンの制度と運用ページで整理しています。
ワタキューセイモア株式会社
本社は京都府綴喜郡井手町、創業は1872年(明治5年)、設立は1962年です。医療・福祉関連サービスを営み、寝具類・医療衣・各種ベッド類・事務機器・厨房機器・洗濯機・紙オムツ・福祉機器・介護用品の販売及び賃貸と、これらの洗濯を事業内容としています。ホテル事業としては、リネンサプライ(洗濯付きのリース)の利点を「繊維製品(リネン類)の購入コストや在庫スペースの削減」「リネン購入や交換、補充、クリーニング、補修や保守が全て事業者側で行われる管理作業の軽減」と説明しています。病院・介護・ホテルという複数の領域で同じ供給と洗濯の体制を利用できる点が、この事業者の形を読み取れる背景です。かつてのグループ会社綿久リネン株式会社が2022年7月に合併でワタキューセイモア株式会社に統合されたこと、本社の地域が京都であることを踏まえると、関西・西日本の医療基盤とホテル・旅館の需要を同じ会社が担う事業者として説明できます。
株式会社ヤマシタ
本社は静岡県島田市中河の事業者です。1963年3月に静岡リネンサプライ株式会社として静岡市清水に設立されたのが起点です。沿革には静岡・愛知県域で基準寝具の供給体制を整えてきた経緯が残されており、静岡県を拠点としながら東海・関東地方へ体制を広げてきました。活動の説明として「福祉用具レンタル・販売」「ホテルリネンサプライ」「病院リネンサプライ」の三つの事業を公表しています。とりわけ、介護保険制度の導入前から福祉用具のレンタルに入っていた経緯が公表され、福祉用具のレンタルとリネンサプライの2つの柱を同じ販売体制に束ねる形が特色です。厚木市にあるクリーンライフヤマシタ株式会社などの関連事業者とともに基準寝具の工場を持つ点も、病院リネンの体制が特徴的な事業者として説明できる材料です。
日本基準寝具株式会社
本社は広島県広島市安佐南区大町東、1963年(昭和38年)創業です。「病院・ホテルリネン、介護用品・福祉用具(車椅子、ベッド)のレンタル・販売、住宅改修、在宅介護」を業務内容として示し、供給の中心が病院の基準寝具とその管理です。広島市から東広島市に工場を持ち、東広島令和工場では、下水放流量の削減を目的として洗濯排水の再利用や地下水・雨水の利用を、SDGs目標6の取組として公表しています。病院に向けた「寝具のリースと洗濯の外注」の契約構造が基本で、在宅介護する家庭との接点も介護用品・福祉用具を通じてあるため、施設に限らず家庭の寝具・福祉用具の管理に向ける姿勢が特色です。契約の詳しい説明は基準寝具・医療リネンの制度と運用ページに概説があります。病院リネンと介護用品・福祉用具の管理を同じ会社が担う点も特色です。
全国展開と地域密着の二つの形式
本表の9者を大まかに分けると、二つの形式が見えてきます。一つは、拠点の広がりで需要を押さえる「全国展開型」です。ここには全国に工場と窓口を持ち上場してる白洋舍、東急グループの中で都心のホテル需要を担う東急リネン・サプライ、都心の企業・工場からユニフォーム・リネン全般を担うウェアラ、全国に店舗網を持ち各地に工場を持つロイヤルネットワークのような事業者が含まれます。この形式では、複数の出荷から同様の品質でリネンを供給する体制の統一が、採用判断の主軸になります。
もう一つは、地域の需要に深く入れる「地域密着型」です。白興(首都圏のホテルと温浴)、ワタキューセイモア(関西・西日本の医療福祉)、ヤマシタ(静岡・東海)、日本基準寝具(広島など中国地方)は、拠点の近さによる回収・納品の循環の短さと、地域の病院・ホテルとの長い取引関係が強みとなっています。夜間に回収して翌早朝に納品する循環は、供給範囲の広がりに比例して効率が変わるため、地域に密着した事業者が効率面で有利になりやすい構造にあります。いずれの形式でも、基本的な事業構造(リースと洗濯のサイクル)は変わりなく、リネンサプライ産業の全体像ページに記した五つの段階の動きが共通しています。
このほか、RFIDによる個体管理や自動仕分け設備といったDXの公表は、本表の9者では確認できませんでした。国際的なホテルリネンではRFIDの普及が公表資料から読み取れますが、日本の事業者が自社のRFID導入を公表した事例の範囲は限定されます。この点は、公表事例を中心に整理したRFID・工場自動化とDXページの内容としてご確認ください。
一次情報の確認先
- 一般社団法人日本リネンサプライ協会:公式サイト、会員一覧
- 株式会社白洋舍:会社概要、リネンサプライの紹介ページ
- 東急リネン・サプライ株式会社:会社概要
- ウェアラ株式会社:会社情報
- 株式会社トーカイ:会社案内
- ロイヤルネットワーク株式会社:会社案内(リネンサプライ事業部)
- 株式会社白興:公式サイト、企業概要
- ワタキューセイモア株式会社:会社概要、リネンサプライ事業の説明
- 株式会社ヤマシタ:会社情報
- 日本基準寝具株式会社:企業情報